会社で危険物甲種取るように言われたけど、そもそもどんな試験?
就職や転職に有利になりそうだから受験を考えたけど、受かるための勉強時間はどのくらい?
勉強自体久しぶり、、どうやって勉強すれば受かる?
一定量以上の危険物を取り扱う場合に必要となる危険物取扱者資格。
国家資格であり、必置資格(条件を満たす施設には置かなければならない資格)でもあるので、常に一定の需要がある資格です。
特に「甲種危険物取扱者」はすべての危険物について取り扱えるようになるため、化学系の業種で現場勤務の場合、会社から取るように言われる方も多いのではないでしょうか?
一方、危険物取扱者資格は試験に受からないと免状をもらえない資格です。
そのため、「会社から取るようには言われたけど、そもそも危険物甲種がどんな試験かわからないよ!」とか「どうやって勉強すれば試験に受かるの?」とお悩みの方もいると思います。
そこでこの記事では、以下のことについて解説しています。
- 甲種危険物取扱者の概要
- 受験資格
- 受験案内の入手方法
- 難易度と合格率
- 試験日
- 勉強時間
- 勉強方法
- 科目ごとの勉強方法
- おすすめの参考書と過去問集
「甲種危険物取扱者」は、独学でも合格することができる試験です。
この記事が少しでもみなさんの「甲種危険物取扱者」の勉強の助けになれば幸いです。
- 大学生のときに危険物取扱者乙種第4類に合格(得点率89%)
- 社会人のときに危険物取扱者甲種に合格(得点率95%)
- 理系大学出身
- 趣味は資格の取得
- 公害防止管理者水質第1種や統計検定2級、漢検準1級などを取得しています
甲種危険物取扱者試験の概要
危険物甲種は、正式には「甲種危険物取扱者」と言います。
ここでは、「甲種危険物取扱者」試験の概要について解説します。
受験資格
危険物取扱者試験は、「乙種」と「丙種」については受験資格がありませんが、「甲種」については受験資格があります。
実務経験がない場合の要件としては、主に理系大学出身であることが求められます。
- 大学等において化学に関する学科等を修めて卒業した者
- 卒業証明書又は卒業証書(学科等の名称が明記されているもの)
- 大学等において化学に関する授業科目を15単位以上修得した者
- 単位修得証明書又は成績証明書(修得単位が明記されているもの)
- 乙種危険物取扱者免状を有する者(実務経験2年以上)
- 乙種危険物取扱者免状及び乙種危険物取扱実務経験証明書
- 乙種危険物取扱者免状を有する者(次のa.~d.の4種類を持っている必要があります)
a. 第1類または第6類
b. 第2類または第4類
c. 第3類
d. 第5類- 乙種危険物取扱者免状
- 修士・博士の学位を有する者
- 学位記等(専攻等の名称が明記されているもの)
1.~6.のうちのいずれかを満たしている必要があります。
詳しい受験資格については、一般財団法人消防試験研究センターのHPで必ず確認してください。
資格証明書は、受験願書と一緒に書面で郵送する必要があります。(一部例外を除く)
そのため、ゆとりをもって書類の準備をしましょう。
私は大学から証明書を郵送してもらいました。
大学HPから証明書交付願を提出して、返信用封筒を用意して、、となかなかめんどくさかったですし、時間もかかりました。
受験案内の入手方法
甲種危険物取扱者試験では、資格証明書を受験願書と一緒に郵送する必要があります。(一部例外を除く)
試験手数料の払い込みに使う払込取扱票も、受験願書に同封されています。
そのため、受験案内は必ず手に入れる必要があります。
郵送してもらうか、以下の入手先に行けば無料で受け取れます。
- 各道府県:(一財)消防試験研究センター各道府県支部及び関係機関・各消防本部
- 東京都:(一財)消防試験研究センター本部・中央試験センター・都内の各消防署
難易度と合格率
令和4年度の月ごとの受験者数と合格率は以下の通りです。
4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
受験者数(人) | 676 | 585 | 4,215 | 1,302 | 559 | 1,275 | 2,636 | 3,836 | 1,626 | 490 | 2,942 | 2,136 |
合格率(%) | 42.8 | 33.5 | 33.2 | 35.6 | 42.4 | 38.2 | 42.2 | 37.4 | 38.2 | 32.7 | 35.1 | 35.7 |
合格率は4割前後で推移しています。
合格率25.9%の月もある、、
しっかり対策すれば、ちゃんと合格できるので不安になりすぎることはありませんよ
試験日
試験日は都道府県ごとに違います。
東京都は令和5年度に5回試験がありますが、年3回という県も多いです。
そのため、受験をしたいと考えている都道府県の受験案内を必ず確認してください。
なお、現住所、勤務地に関わらずどの都道府県でも受験は可能なので、希望の試験日がない場合は、周りの都道府県の試験日も調べてみましょう。
勉強時間
一般的に、甲種危険物取扱者試験の勉強時間は60~120時間程度と言われています。
高校化学の習熟度や、暗記の得意・不得意によって勉強時間には幅があります。
科目ごとの勉強時間については、下記「科目ごとの勉強方法」に記載しましたので、そちらもご覧ください。
ちなみに、私は休日に3〜4時間勉強して、平日に10分復習するのを約3か月続けました。時間に換算すると約100時間勉強していたことになります。
勉強方法
試験の出題内容
ここで試験科目について確認しましょう。
試験科目 | 問題数 | 傾向と対策 |
---|---|---|
危険物に関する法令 | 15問 | 単純暗記なので、覚えたもの勝ち。 |
物理学及び化学 | 10問 | 高校化学の範囲。計算問題も出る。 |
危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法 | 20問 | 暗記量が多い。化学の知識があると有利。 |
科目名だけじゃどんな試験か想像できないな…
それぞれの科目について例題を用意したので、雰囲気をつかんでいただければ幸いです
法令上、予防規定を定めなければならない製造所等の組み合わせとして、次のうち正しいものはどれか。
- 製造所、販売取扱所
- 屋内貯蔵所、屋内タンク貯蔵所
- 屋外タンク貯蔵所、屋内タンク貯蔵所
- 給油取扱所、一般取扱所
- 移送取扱所、地下タンク貯蔵所 (答)4
プロパン(C3H8)88.0gを過不足なく完全燃焼させるのに必要な空気の量として、次のうち正しいものはどれか。
ただし、空気は標準状態(0℃、1気圧(1.013×10^5))、窒素:酸素=4:1の体積比の混合気体とし、Cの原子量を12、Hの原子量を1、Oの原子量を16とする。
- 11.2 ℓ
- 56.0 ℓ
- 112.0 ℓ
- 560.0 ℓ
- 1120 ℓ (答)5
第4類の危険物の一般的な性状として、次のうち誤っているものはどれか。
- 引火点を有しないものがある。
- 沸点が水より高いものがある。
- 液体の比重は、1より小さいものが多い。
- 色がついているものがある。
- 可燃性蒸気は、低所に滞留する。 (答)1
科目ごとの勉強方法
危険物に関する法令
ひたすら用語と数字の暗記です。
法令用語なので分かりにくかったり、似た用語や数字と混同しがちなので、自分なりに整理しながら暗記していくことがおすすめです。
勉強時間:20~40時間程度(2週間~1か月程度)
私が実際にまとめていたノートの例を紹介します。
物理学及び化学
高校化学が得意だった人の場合、出題範囲の確認でこの科目の勉強は終わると思います。
確認方法としては、参考書の問題を一通り解いてみることをおすすめします。
ちなみに本番は電卓を持ち込めないので、計算問題は手計算で練習しておきましょう。
キリのいい数字が出題されるので、手計算で大変ということにはならないはずです。
- 高校化学が得意だった人:2~3時間程度
- 高校化学が苦手だった人、化学の勉強は久々な人:10~40時間程度(1週間~1か月程度)
勉強時間に差はでますが、甲種は受験資格が必要なため、理系大学出身者か乙種取得のため化学を勉強した人がほとんどだと思います。
解いていくうちに感覚を思い出していくのでそこまで心配はいりません。
高校化学が得意だった人でも、万が一忘れている単元が多いと困ったことになるので、確認作業自体は早めにやっておきましょう
危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法
私が使用していた参考書では、覚える危険物が少ない順に勉強していくことをおすすめしていました。
つまり、第6類→第2類→第3類→第5類→第4類→第1類の順です。
私自身この順番で覚えやすかったので、おすすめですよ。
また、科目としても「危険物に関する法令」より先にこちらの科目について勉強を始めました。
暗記量が多いため、とにかく演習を繰り返すようにしました。
勉強の順番を変えた弊害として、「用語の意味が分からない」ということがありましたが、そこは参考書を遡って確認するようにしていました。
ちなみに、勉強を進めていくうちに「あれこの危険物第何類だっけ?」という混乱が起こります。
危険物を見たら何類か答えられる訓練もしておきましょう。
40~60時間程度(1~2か月程度)
おすすめの参考書と過去問集
甲種受験をされる方に、おすすめの参考書を2選と過去問集紹介します。
ユーキャンの甲種危険物取扱者試験 速習レッスン
表や図解が多く、とっつきやすさに優れた参考書です。
欄外の用語の説明やコメントも理解を助けてくれます。
施設ごとの設置必要性をまとめた表などもあるので、自分で表を作る労力が削減されます。
クセも少なく、万人におすすめできる参考書です。
唯一の欠点として本番形式の問題が少ない印象があるので、まずはこの1冊を完璧にした上で過去問集などで演習を足すと良いと思いました。
わかりやすい!甲種危険物取扱者試験
私が甲種に一発合格した際に使用していた参考書です。
危険物取扱者試験はとにかく暗記量が多いのですが、この本で紹介されたわかりやすい語呂合わせにかなり助けられました。
過去問集も使いましたが、この本1冊でも受かっていたと思います。
過去問について
過去問については、買う前に注意点が2つあります。
注意点①:過去問は実際の出題問題ではなく、「再現問題」
危険物取扱者試験では、過去問が公開されていません。
一般財団法人消防試験研究センターのHPでは過去問の一部が公開されていますが、あくまで一部であり、雰囲気を感じられる程度になっています。
また、本番の受験会場で問題用紙を持って帰ることはできません。
そのため各参考書や過去問集で紹介されている「過去問」は、受験者による「再現問題」であることに留意しましょう。
注意点②:過去問を買う前に、参考書1冊を完璧にする
資格試験は過去問が絶対!と言われることが多いですが、危険物取扱者試験に関して言うと演習問題が十分載っている参考書1冊を完璧にすることで合格点に到達できます。
過去問集を買う前に、参考書1冊を完璧に解けるようになることを目指しましょう。
上記2点を確認された上で過去問集を買いたい!という場合は、以下の過去問集がおすすめです。
甲種危険物取扱者試験
私が甲種に一発合格した際に使用していた過去問集です。
範囲が網羅されているので、この過去問集を最終チェックに使っていました。
まとめ
この記事では、以下のことについて解説しました。
- 甲種危険物取扱者の概要
- 受験資格 →主に理系大学出身であることが求められる
- 受験案内の入手方法 →(一財)消防試験研究センター各道府県支部及び関係機関・各消防本部、もしくは郵送
- 難易度と合格率 →4割前後で推移
- 試験日 →各都道府県による
- 勉強時間 →60~120時間程度
- 勉強方法
- 科目ごとの勉強方法 →「物理及び化学」以外はひたすら暗記
- おすすめの参考書と過去問集 →ユーキャンの甲種危険物取扱者試験 速習レッスン →わかりやすい!甲種危険物取扱者試験 →甲種危険物取扱者試験
この記事が少しでも参考になれば幸いです。