可燃物、酸素供給源、点火源の3つがそろわないと燃焼は起きません。
しかし、この3つがそろっていても燃焼がすぐ起きる場合と燃焼がおきない場合があります。
今回は、燃焼のしやすい条件について学習しましょう。
条件がたくさん出てきますが、今までの内容が理解できていれば覚えることはほとんどないはずなので、ここまでの理解度チェックにもなると思います。
燃焼しやすい条件には、つぎのようなものがある。
- 酸化されやすいもの
- 空気との接触面積が大きいもの
- 熱伝導率が小さいもの
- 熱容量が小さいもの
- 発熱量が大きいもの
- 沸点が低いもの
- 乾燥しているもの
- 酸素濃度が高い
- 周囲の温度が高い
燃焼のしやすさに直接関係しないものとしては、つぎのようなものがある。
- 体膨張率
- 蒸発熱
①酸化されやすいもの
燃焼は熱と発光を伴う酸化反応のことです。
酸化の中でも激しく反応するのが燃焼ですから、酸化されやすい可燃物はそれだけ燃焼しやすくなります。
②空気との接触面積が大きいもの
鉄はかたまりだと不燃物ですが、粉末になると可燃物になります。
これは粉末の方が空気との接触面積が大きくなったからです。
このように、可燃物と空気の接触面積が大きいほど、燃焼しやすくなります。
③熱伝導率が小さいもの
熱伝導率とは、熱の伝えやすさのことです。
たとえば陶器の湯呑みと木製のお茶碗にお湯を注いだとき、陶器の方が熱くなります。
これは木より陶器の方が熱伝導率が大きいからです。
熱伝導率が大きいと、熱を外に逃がせますが、熱伝導率が小さいと、熱を逃がせず抱えることになります。
熱、つまりエネルギーが高い方が可燃物と酸素の反応が起きやすくなるので、熱伝導率が小さいものの方が、燃焼しやすくなります。
④熱容量が小さいもの
熱容量とは、物体の温度を1℃上昇させるのに必要な熱量のことを言います。(復習はコチラ)
たとえば同じ重量の水と鉄だったら、鉄の方が少ない熱量で熱くなります。
これは鉄の方が熱容量が小さいからです。
熱容量が小さいほど、少ない熱量で物質の温度があがるため、燃焼がしやすくなります。
⑤発熱量が大きいもの
燃焼は、熱と発光を伴います。
燃焼によって出てくる熱(発熱量。もしくは燃焼熱とも言う)が大きいほど、つぎの反応が起きやすくなるので、発熱量が大きいほど燃焼が継続しやすくなります。
⑥沸点が低いもの
液体の燃焼の仕方には蒸発燃焼がありますが、これは液体そのものが燃えているわけではなく、液体の表面から蒸発した蒸気が空気と混ざって燃焼する燃焼の仕方です。
つまり、蒸発しやすい=沸点が小さいほど、燃焼はしやすくなります。
⑦乾燥しているもの
乾燥した木材と水分を含んだ木材では、乾燥した木材の方が燃焼しやすいです。
このように、水分量が少ないもの、つまり乾燥しているものほど燃焼しやすくなります。
⑧酸素濃度が高い
一般的に、可燃物は酸素濃度が15%以下になると燃焼を継続することができません。
つまり、酸素濃度が大きいほど燃焼は継続しやすくなります。
⑨周囲の温度が高い
可燃物と酸素を反応させるためにはエネルギーが必要です。
周囲の温度が高いとその分熱というエネルギーを得やすいので、燃焼しやすくなります。
⑩体膨張率は燃焼のしやすさに直接関係しない
体膨張率とは、物質が1℃上昇したときの、体積の増加率のことです。
熱と言うエネルギーが膨張に使われたと考えると、燃焼のしやすさには関与しなそうですね。
⑪蒸発熱は燃焼のしやすさに直接関係しない
確認テスト
燃焼のしやすさについて、つぎのA~Eのうち正しいものはいくつあるか。
A 沸点が高いほど燃焼しやすい。
B 発熱量が小さいほど燃焼が継続しやすい。
C 熱伝導率が大きいほど燃焼しやすい。
D 熱容量が小さいほど燃焼しやすい。
E 空気との接触面積が大きいほど燃焼しやすい。
(1)なし (2)1つ (3)2つ (4)3つ (5)4つ
A ✕ B ✕ C ✕ D 〇 E〇