燃焼の3要素は、可燃物、酸素供給源、点火源です。
今回学習する静電気は身近な現象ですが、この静電気による火花は点火源として火災の原因になることがあります。
また、危険物第4類に該当する物質の多くは静電気を発生、蓄積しやすい性質を持ちます。
静電気が発生、蓄積する流れと静電気の発生、蓄積を防止する方法は対にして理解しましょう。
- 静電気は不良伝導同士の摩擦によって発生、蓄積する
- 静電気発生・蓄積防止策として、接地、湿度を高める、給油作業の際には流速を小さくするなどがある
①静電気は不良伝導同士の摩擦によって発生、蓄積する
まずは静電気が発生、蓄積、放電するまでの流れを説明します。
静電気は一般に、電気の通りにくいもの同士の摩擦によって発生します。
電気の通りにくいものを不良導体と言い(不導体もしくは絶縁体とも言う)、髪の毛や下敷きのようなプラスチック、セーターなどに使われる化学繊維は電気の不良導体です。
固体だけではなく、液体や気体の物質にも電気の不良導体はあります1。
油は不良導体であり、危険物第4類引火性液体に該当する物質の多くは電気の不良導体です。
そのため、ガソリンの給油作業でホースの中をガソリンが通るだけで、摩擦による静電気が発生しています。
反対に水は一般的に電気を通すので、湿度の高い夏は静電気が発生しても、物体表面の水分から静電気が逃げていきます。
一方、乾燥している冬は、静電気が逃げず蓄積されていきます。
一度発生し蓄積した静電気は、量が多くなると火花放電を起こし、これが点火源として火災の原因になります。
②静電気発生・蓄積防止策として、接地、湿度を高める、給油作業の際には流速を小さくするなどがある
次に静電気発生、蓄積させない方法について説明します。
まずは摩擦を起こさないことで、静電気の発生を防止します。
給油作業では、流速を小さくゆっくり注ぐことで、摩擦の発生を抑えることができます。
また、発生してしまった静電気を蓄積しないよう逃がす措置も重要です。
例えば、作業場所や容器内の湿度を高めることも有効です。
また、接地(アース)をすることで地面に静電気を逃すことができます。
確認テスト
静電気に関する説明として、次のうち誤っているものはいくつあるか。
A 静電気は一般に、電気の不良導体同士の摩擦によって発生、蓄積する。
B 静電気は湿度が低いほど発生、蓄積する。
C 危険物第4類に該当する物質で、水に溶けるものは静電気が発生、蓄積しやすい。
D 静電気の蓄積を防止する方法として、接地、帯電防止服の着用などがある。
E 送油作業を行う際は、流速を小さくし、ホースには絶縁体の素材を使う。
(1)なし (2)1つ (3)2つ (4)3つ (5)4つ
A ○ B ○ C ✕ D 〇 E ✕
- 雷の発生も、静電気によるものだと考えられています。 ↩︎