【物化06】金属の腐食│無料で学べる乙4

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危険物を保管するためのタンクや移送するための配管は、危険物ごとの性質にあったものを使用する必要があります。

金属は丈夫で加工がしやすいため、タンクや配管に使われることが多いですが、金属は周りの環境と反応するため、環境中に置いておくだけでも腐食が進みます。

今回はそんな金属の腐食や腐食の進行を抑える方法について学習します。

POINT
  • pHは酸性やアルカリ性の度合いを1~14で表したもの
  • イオン化傾向が大きい金属ほど酸化しやすい
  • 金属は湿度や塩分の多い場所や土質の異なる環境中にあると腐食しやすい

①pHは酸性やアルカリ性の度合いを1~14で表したもの

金属の腐食の本題に入る前に、pH(水素イオン指数)について学習しましょう。

青色リトマス紙を赤くする水溶液が酸性で、赤色リトマス紙を青くする水溶液がアルカリ性…

では、レモン汁とお酢はどちらも酸性ですが、どちらの方がより酸性の度合いが強いのでしょうか?

酸性やアルカリ性の度合いの強さを1~14の数で示したものがpHです。

1に近いほど酸性が強く、14に近いほどアルカリ性が強くなります。

また、7付近を示す水溶液は中性と呼ばれます。

コラム:アルカリと塩基
アルカリは塩基の中でも水に溶けてアルカリ性(=塩基性)を示すものを指す言葉です。
塩基はアルカリより広い範囲を表す言葉なので、高校化学以降では「塩基」を用います。

②イオン化傾向が大きい金属ほど酸化しやすい

物質が酸素と化合することを酸化と言いました。(復習はコチラ

鉄や銅、金など金属には種類があり、酸化のしやすさは金属ごとに異なります。

金属の酸化のしやすさを表したものにイオン化傾向と言うものがあります。

正確には、イオン化傾向は「金属の金属イオンになりやすさ」を示したものです。
イオン化傾向が大きい(=イオンになりやすい)ものほど、ほかの物質と反応したがるため、酸化だけではなく様々な反応を起こします。

この図から分かるように、カリウム〔K〕が最も酸化されやすく、金〔Au〕が最も酸化されにくいです。

さて、今回の本題「金属の腐食」ですが、金属が周囲の環境と反応して溶けたり、酸化(サビ)したりすることを言います。

つまり、周囲の環境と反応しにくい金を使えば解決なのですが、現実的ではありません。

実際使われる素材としては、鉄や鋼1が多いので、危険物取扱者試験では鉄を中心に出題されることが多いです。

③金属は湿度や塩分の多い場所や土質の異なる環境中にあると腐食しやすい

さて、金属の腐食が起こりやすい環境について考えてみましょう。

金属の腐食が起きやすい条件
ⅰ)湿度が高い場所や、水中などの水分が多い環境
ⅱ)塩分の多い環境
ⅲ)酸性が強い環境
ⅳ)異種金属と触れているところ
ⅴ)迷走電流が流れている土壌中
ⅵ)土質が異なる環境

ⅰ)湿度が高い場所や、水中などの水分が多い環境 ⅱ)塩分の多い環境

屋外で雨風にさらされている場所にある釘は、室内にある釘よりサビやすいでしょう。

また、海辺のような塩分の多い環境は、さらにサビやすい環境になります。

ⅲ)酸性が強い環境

酸性の強い水中や土壌中で腐食は進行し、反対に中性やアルカリ性では腐食は進みにくいです。

コンクリートは一般に強アルカリ性なので、コンクリートに埋設された配管は腐食しにくくなります。

ⅳ)異種金属と触れているところ ⅴ)迷走電流が流れている土壌中

異なる金属と金属が触れていると、電気が流れます。

腐食はこのように電気が流れることによって進みます。

なので、直流電気鉄道の近くなど、迷走電流が流れている場所でも、腐食は起きやすくなります。

ⅵ)土質が異なる環境

空気中や水中は対流が起こるので周りの環境が均一になりやすいですが、土壌中は周りの環境にムラができやすいです。

このムラ(水分量の違い、砂状や泥状など地質の違い)によっても金属の腐食は進みやすくなります。

では、金属の腐食を抑制する方法についても考えてみましょう。

金属の腐食を防ぐ方法
ⅶ)金属を露出させないように、被覆したり防腐剤で覆う
ⅷ)タンクや配管よりもイオン化傾向が大きい金属でアースする

ⅶ)金属を露出させないように、被覆したり防腐剤で覆う

金属をエポキシ樹脂などの合成樹脂で被覆したり、防腐剤を塗布して金属と周りの環境で反応を起こさないようにする方法があります。

もちろん設置の際には、被覆や塗装が剥がれないように設置する必要があります。

ⅷ)タンクや配管よりもイオン化傾向が大きい金属でアースする

鉄のタンクや配管に対しては、アルミニウムのようなイオン化傾向の大きい金属をアースに用いると、先にアルミニウムの方が周囲の環境と反応して腐食するので、本体のタンクや配管を守ることができます。

確認テスト

金属の腐食に関する説明として、次のうち誤っているものはいくつあるか。
A 地下水が流れている場所では、金属の腐食が進みやすい。
B 鋼製の配管を砂や泥が混ざる場所に埋設すると、腐食は進みにくくなる。
C コンクリートの中に配管を埋設すると、一般的に腐食は進みにくくなる。
D 配管が鉄製の場合、亜鉛や鉛などの鉄よりイオン化傾向が大きい金属をアースに用いると、    配管については腐食が起きにくくなる。
(1)なし (2)1つ (3)2つ (4)3つ (5)4つ

A ○  B ✕  C ○  D ✕  答え(3)

  1. 鋼:鉄とその他の物質で作られた合金 ↩︎
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この記事を書いた人

技術屋の30代。
仕事に関係ある資格から生活を豊かにする資格まで取得済。
いろいろな資格を取得してきた経験をもとに、資格取得のHow Toを発信中。