独学で簿記2級を受けようと考えているけど、ネットで検索すると厳しいと出てくる、、実際のところどうなんだろう?
これから独学で簿記2級を受けようと考えている方の中には、このような疑問や不安を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事ではそんな方に向けて、私が独学で簿記2級に満点合格した経験をもとに、簿記2級の対策についてお伝えします。
簿記2級は簡単ではありませんが、地道に勉強していけば独学でも合格できる試験です。
私が実際に使った参考書や、合格のための近道的な方法も少しですが紹介するので、ぜひ最後まで読んでいただけると幸いです。
- 2021年11月、独学で簿記3級(CBT方式)合格(得点率90%)
- 2022年12月、独学で簿記2級(CBT方式)合格(得点率100%)
- 理系大学出身
- 趣味は資格の取得
- 危険物取扱者甲種や統計検定2級、漢検準1級などを取得しています
独学は厳しい?簿記2級試験が難しい理由
私自身は楽観的に独学での勉強を始めてしまいましたが、勉強を進めていく中で簿記2級試験の難しさを身をもって感じました。
私が特に困ったのは以下のような点です。
商業簿記と工業簿記の両立が難しい
簿記2級からは内容が商業簿記と工業簿記に分かれます。
簿記3級との大きな違いですね。
商業簿記…簿記3級の勘定科目の深堀り+連結会計や税効果会計などの簿記2級のラスボスを学ぶ
工業簿記…自社で製品を作る場合の簿記。原価の計算方法などを学ぶ。
独学だと、商業簿記と工業簿記をバランスよく学習できるように、スケジュールを自分で組みながら学習を進めていく必要があります。
しかしうまく両立できるようなスケジュールを考えるのが案外難しく、商業簿記の勉強をしたら薨御簿記の内容を忘れ、工業簿記を勉強したら商業簿記の内容を忘れ、、となかなか思ったより前に進めませんでした。
問題が分からなくても聞ける人がいない
簿記2級は商業簿記と工業簿記に分かれて範囲が広いだけではなく、それぞれの内容も3級よりも深く、難しくなっています。
そのため問題集を解いていく中で、解説を読んでも理解できない問題が出てきます。
Yahoo!知恵袋で「簿記2級」を検索すると、同じく市販の問題集の解説を求めている人が多いことがわかります
分からない問題が数問であればいいのですが、分からない問題ばかりだと挫折しそうになりました。
簿記2級に独学で満点合格した方法
さてここからは、私が試行錯誤しながら得点率100%で合格するに至った道のりを紹介していきます。
使用した講義動画・参考書
【簿記系YouTuber?】ふくしままさゆき
インプットは、簿記3級でもお世話になった簿記系Youtuberのふくしままさゆき先生の動画で行いました。
あわせて、ふくしま先生のKindle本も利用しています。
簿記を暗記ではなく理解してもらう、という先生の熱い信念のもと講義が作成されています。
イメージがつきづらい勘定科目も、先生の実務経験を交えてわかりやすく解説してくれます。
講義動画もKindle本も、都度最新の出題内容に改定してくれるという手厚いフォローっぷりです。
ただし、私が勉強を始めたあとから、商業簿記の一部がメンバーシップ動画(月額料金を払うことで視聴できる動画)になってしまいました。
とはいえ、ふくしま先生の講義動画は、今まですべて無料で受講できていたのが不思議なくらいの超優良動画です。
コメント欄にも「ほかの参考書で躓いてこの動画にたどり着きました」というコメントが並んでおり、多くの人がふくしま先生の動画に助けられていることがわかります。
TAC 合格トレーニング 日商簿記2級 商業簿記/工業簿記
アウトプットは、こちらの問題集を利用しました。
この問題集の良い点としては、問題が単元ごとに並んでいて、苦手単元の把握がしやすいことがあります。
また、問題数が多く、出題パターンを広く網羅しています。
問題数を最低限に絞って、最小限の努力で合格するように作られている問題集もありますが、近年の簿記試験の難化傾向から、広く出題パターンを網羅できて良かったと思っています。
ここだけの話、この問題集とそっくりの問題が本番でも出てきました
一方、Amazonの口コミにもあるように1問1問の解説は薄めです。
しかし、私はふくしま先生の動画とテキストで十分にインプットを行なってから演習に入ったので、それほど困ることはありませんでした。
また、予想問題はついていないので、本番の形式に慣れるために別途予想問題集を購入しました。
結果的に予想問題集はなくても受かったと思いますが、本番への不安が潰せたので予想問題集を購入したことは後悔していません
ネット試験と第163回をあてるTAC予想模試+解き方テキスト 日商簿記2級
本番形式の問題を練習するためにこちらの予想問題集を購入しました。
ネット試験で受験することに決めていたので、ネット試験模擬プログラム(Windows対応)が5回分ついている予想問題集を選びました。
とはいえ、予想問題集は各社差がつきにくいので、もう少し安い予想問題集でもよかったと思います。
勉強方法
上記の参考書などを使った勉強方法を紹介します。
また、合格までのスケジュールは以下のようになっています。
勉強記録アプリで記録をつけていたので、リアルな数字ですよ
week1 まずは簿記3級の復習から
簿記3級に合格してから1年近く経っていたので、まずは簿記3級の復習から始めました。
方法としては、簿記3級の勉強のときにお世話になっていたふくしま先生の動画を見直しました。
1周見直した時点で、簿記3級を8割くらい得点できるくらいには知識が戻っていたと思います
week1~2 工業簿記インプット1周目
簿記2級は商業簿記と工業簿記にわかれています。
どちらを先に勉強するか迷いましたが、工業簿記を先に勉強することをおすすめしているサイトが多かったので、工業簿記から始めました。
工業簿記の1周目は全体を把握することが大事、とのことでしたので、各単元の概要を把握できる17本の動画(ふくしままさゆき先生のセレクト)に絞って視聴しました。
通勤時間に動画を視聴→ゆっくり机に向かえる時間に動画内の練習問題やKindle内の練習問題を解くというのを動画ごとに繰り返しました。
week2~4 商業簿記インプット1周目
商業簿記は、簿記2級のラスボスである連結会計や税効果会計が含まれます。
しかし連結会計や税効果会計は、メンバーシップ動画(月額料金を払うことで視聴できる動画)になっていたため、それ以外を学習しました。
こちらも工業簿記と同様に、通勤時間に動画を視聴→ゆっくり机に向かえる時間に動画内の練習問題やKindle内の練習問題を解くというのを動画ごとに繰り返しました。
week5~9 工業簿記インプット2周目+アウトプット1周目
商業簿記1周目を終えて、工業簿記に戻ってきたらほとんど内容を覚えていなくてショックを受けました。(泣)
工業簿記インプット2周目では、TACの問題集を使ってアウトプット1周目も並行して行っています。
1周目では飛ばした動画も含めて視聴→TACの問題集で同じ単元を解くというのを繰り返しました。
1周目と同様に動画の視聴は通勤時間に行い、机に向かえる時間に問題集を解くようにしていましたが、問題を解くのに時間がかかることもあり、問題集1周目が終わる前に商業簿記インプット2周目に移っています。
1周目の内容をほとんど忘れてしまったこともあって、とても焦っていたころです
week7~12 商業簿記インプット2周目+アウトプット1~2周目
工業簿記と同様に、商業簿記に戻ってきたらほとんんど内容を覚えていませんでした。(泣)
商業簿記は発展的な単元(例:連結会計、税効果会計)が月額の有料動画だったので、まずは無料動画の範囲を視聴→TACの問題集を解くというのを終えてから、有料動画の範囲を視聴→TACの問題集を解くという方法にしました。
有料動画以外の範囲は、簿記3級の単元を深堀りするようなイメージで進められます。
そのため、連結会計や税効果会計を学んでいる最中に、アウトプット2周目にも入っています。
このころに試験の申し込みも行っています。
week11~12 工業簿記アウトプット2周目
工業簿記インプット1周目と2周目の間を空けたら内容をほとんど覚えていなかったことがトラウマになり、間をあまり空けずにアウトプット2周目に入りました。
必要であれば動画も見直すようにしています。
このころには知識が定着し始めたのもあって、脳内でふくしま先生が問題の解説をしてくれるようになりました。(笑)
week13~15 工業簿記アウトプット3周目+商業簿記アウトプット3周目+復習
どの資格勉強でも問題集は3周は解くようにしていたので、簿記2級の勉強でも同様に問題集を3周解きました。
正誤の記録を取っていたので、誤答が多い問題に限って4周目以降も演習を行っています。
week15 予想問題集を解く
本来ならもっと早く本番形式の問題を解いていた方がよかったのでしょうが、実際に予想問題集に着手できたのは本番の1週間前でした。
ネット試験模擬プログラム5回分の得点率は以下の通りでした。
- 1回目:90%
- 2回目:69%(不合格)
- 3回目:77%
- 4回目:90%
- 5回目:82%
記2級は得点率70%以上で合格なので、2周目の模擬試験が本番だったら落ちてます
問題集をしっかり解いてきたこともあって、時間を残しつつ解答することができました。
ちなみに本番も時間が余りました
【数字で見る】独学での簿記2級合格までの道のり
勉強時間・期間
私が簿記2級合格までにかかった時間は229時間、期間にして約3.5か月でした。
簿記2級の標準的な勉強時間が200~250時間程度と言われているので、標準的な勉強時間になりました。
勉強費用
分類 | 商品名 | 価格(税込) | 備考 |
---|---|---|---|
参考書(テキスト) | 独学応援!ホントに理屈っぽい!簿記2級商業簿記 独学応援!ホントにわかる!簿記2級工業簿記 | 99円 | Kindle Unlimited (2か月、キャンペーン価格) |
参考書(問題集) | 合格トレーニング 日商簿記2級 商業簿記 合格トレーニング 日商簿記2級 工業簿記 | 1,980円 1,650円 | |
参考書(予想問題集) | ネット試験と第163回をあてるTAC予想模試+解き方テキスト 日商簿記2級 | 1,760円 | |
講義動画 | 【簿記系YouTuber?】ふくしままさゆき | 2,990円 | Youtube メンバーシップ(1か月) |
ノート | 330円 | 3冊 | |
合計 | 8,809円 |
勉強を始めたころには参考書が複数必要だったり、Youtubeのメンバーシップ代がかかることに気づいていなかったので、当初の想定より費用が多くかかってしまった印象です。
もちろんこれ以外に受験費用(ネット試験;4,720円+事務手数料550円)がかかっています。
いろいろな資格試験を受験してきましたが、簿記2級はその中でも特に費用がかかった試験でした。
簿記2級はメジャー資格ということもあり、各社通信講座で質の良い講座を安く受講できるので、通信講座も視野に入れればよかったと思っています。
簿記2級合格のための裏技
基本的には地道に勉強していくしかないと思うのですが、勉強して分かった少しでも合格に近づくための裏技を紹介します。
ネット試験での受験がねらい目
簿記2級は、2020年12月からネット試験を実施しています。
テストセンターなどあらかじめ決まったテスト会場で、PCを使って問題を出題、解答する試験。
問題は受験者ごとにランダムに出題され(CBT方式)、同じ時間に同じ場所で受けていても別の問題を解くことになります。
ネット試験と従来の統一試験との合格率を比較すると以下のようになります。
ネット試験
期間 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2020年12月~2021年3月 | 29,043名 | 13,525名 | 46.6% |
2021年4月~2022年3月 | 106,833名 | 40,713名 | 38.1% |
2022年4月~2022年3月 | 105,289名 | 39,076名 | 37.1% |
統一試験
回(受験日) | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
156(2020.11.15) | 39,830名 | 7,255名 | 18.2% |
157(2021.2.28) | 35,898名 | 3,091名 | 8.6% |
158(2021.6.13) | 22,711名 | 5,440名 | 24.0% |
159(2021.11.21) | 22,626名 | 6,932名 | 30.6% |
160(2022.2.27) | 17,448名 | 3,057名 | 17.5% |
161(2022.6.12) | 13,118名 | 3,524名 | 26.9% |
162(2022.11.20) | 15,570名 | 3,257名 | 20.9% |
163(2023.2.26) | 12,033名 | 2,983名 | 24.8% |
164(2023.6.11) | 10,618名 | 1,788名 | 21.1% |
165(2023.11.19) | 11,572名 | 1,133名 | 11.9% |
ネット試験の合格率は統一試験と比較して高いことがわかります。
とはいえ、徐々にネット試験の合格率が下がっていることから、出題される問題の難易度は調整されてきている様子です。
ネット試験難易度<統一試験の難易度であるのは、ネット試験が始まったばかりのここ数年間限定かもしれないので、今が受験のチャンスかもしれません。
また、ネット試験は日時・会場の選択が従来の試験方式である統一試験と比較して柔軟に選べることも利点です。
とは言っても希望の日時・会場を選択するためには2か月前くらいには申し込んでおく必要があります。
電卓を使いこなせるようにする
簿記3級で試験対応の電卓を買ったけど、実は使いこなせているとは言えない、、という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
かく言う私も使いこなせていませんでした、
電卓の端っこにならんでいる、[M+]や[MR](メーカーによっては[GT])などのキーは使いこなせるようになると、いちいち計算結果を書き写して改めて合計して、、と言った操作が不要になるので計算スピードが一気に上がります。
[M+]や[MR]のMはメモリー(Memory)の意味です。
簿記2級の試験時間は2021年度試験から90分に短縮されました。
計算で時間がかかって試験時間内に解ききれなかった、ということがないように早めに電卓技術は習得してしまいましょう。
苦労して覚えるのは最初の10分だけですよ
まとめ
この記事では、簿記2級の対策について、私が独学で満点合格した経験をもとにお伝えしました。
簿記3級と比べると、勉強範囲は広くなり、難易度も上がりますが、地道に勉強すれば独学でも合格できる試験です。
ただし、今振り返ってみると、案外参考書代などの費用もかかったこともあり、スクールという選択肢もありだったかなと思っています。
スクールのカリキュラムに従って確実に合格したい方、独学でじっくり勉強したい方などさまざまだと思うので、各々の目的、性格に合わせて最適な方法を選びましょう。
分類 | 商品名 |
---|---|
参考書(テキスト) | 独学応援!ホントに理屈っぽい!簿記2級商業簿記 独学応援!ホントにわかる!簿記2級工業簿記 |
参考書(問題集) | 合格トレーニング 日商簿記2級 商業簿記 合格トレーニング 日商簿記2級 工業簿記 |
参考書(予想問題集) | ネット試験と第163回をあてるTAC予想模試+解き方テキスト 日商簿記2級 |
講義動画 | 【簿記系YouTuber?】ふくしままさゆき |